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妊娠中の葉酸サプリメントと子の喘息

2015.12.07

妊娠中の葉酸サプリメントと子の喘息

葉酸は、水溶性のビタミンB群の1種で、新しい細胞を作る時に欠かせない栄養素です。遺伝子の素となる物質やタンパク質の合成、アミノ酸やビタミン代謝の他、赤血球の形成などにも補酵素として関わっているからです。

受精時に葉酸が不足していると受精後すぐにはじまる神経管の形成がうまくいかなくなり、神経管閉鎖障害などの先天異常のリスクが高くなることがわかっています。そのため、厚生労働省は妊娠前から妊娠3か月まで、葉酸をサプリメントで1日に400μg摂取することを勧めています。それによって発症リスクが大幅に下がるからです。

葉酸のサプリメントを妊娠前からはじめるのは受精直後にはじまる神経管の形成の際に葉酸不足を避けるためです。厚労省が妊娠3ヶ月までとしているのは、その頃には神経管が出来上がるからです。

ただし、細胞分裂はその後も活発に繰り返されるわけです。そのため妊娠全期間を通じて葉酸を補充するに越したことはありません。それによって、早産や流産のリスクが低下するとの研究報告もあります。

その一方で妊娠中期以降に多量の葉酸を摂取した場合、子の喘息の発症リスクが高くなるとの報告もあります。

そのため、葉酸はいつまで続ければいいのか?というご相談を頻繁にいただきます。

当社では、水溶性ビタミンである葉酸と言えども、過剰摂取はよくない、厚労省は葉酸のサプリメントの上限を1日に1000μgと設定しているのでそれを超えなければ妊娠全期間を通じて補充するのが望ましいとお答えしていました。

今回、今回、国立健康・栄養研究所から妊娠中の葉酸のサプリメントと子の喘息発症リスクとの関連についての研究報告が紹介されました。

妊娠中の葉酸サプリメント摂取と子どもの喘息発症リスクとの関連を調べた5つの研究を解析したものです。それによると、妊娠期の葉酸サプリメント摂取と子どもの喘息発症リスクに関連は認められなかった。

ところが、2.5歳未満の子ども362名 (症例150名、平均1.73±0.79歳、中国) を対象とした症例対照研究においては、妊娠中の葉酸摂取量が36,000μg/日未満で喘息発症リスク低下、72,000μg/日以上でリスク増加が認められたのことです。

36,000μgというのは36mg、72,000μgは72mgです。

大変な量です。

葉酸についても「不足しても、過剰になってもよくない」ということですね。

栄養成分解説「葉酸」

細川

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