興味深い研究報告が、アメリカの権威ある医学誌に掲載されています。DHAやEPAの血中濃度が高いほど、細胞の寿命の目安になるテロメアが長いことが分かったというのです。

DHAやEPAというのは油の成分名で、DHEはドコサヘキサエン酸、EPAはエイコサペンタエン酸の略で、魚に豊富な脂肪を構成する成分です。

テロメアというのは、染色体の末端についているキャップのようなもので、大切な遺伝情報を保護する役割を担っているとされているのですが、細胞が分裂するたびに短くなっていき、限界の長さよりも短くなると、細胞は死んでしまうとされています。

つまり、テロメアの長さが、その細胞の寿命の目安になるわけで、魚に豊富な油成分の血中濃度とテロメアの長さが比例するということは、言ってみれば、”魚をたくさん食べる人は老化しにくい”というわけです。

そもそも、魚の油が注目されるようになったのは、エスキモーには狭心症や心筋梗塞なんかの心臓病にかかる人が、極端に少ないことが、疫学調査で分かったことがきっかけとされています。

狭心症や心筋梗塞は、心臓の筋肉である、心筋への血液が流れにくくなったり、流れなくなることでおこるのですが、それは、心筋へ新鮮な血液を供給している冠動脈という血管の内側に、コレステロールなんかの脂肪が付着することで、血管が狭くなってしまい、詰まってしまうことが原因とのこと。

これって、長年の生活習慣の影響が大きくて、血液がドロドロになるような食生活も一因なわけです。

つまり、肉食が多いと、獣肉に豊富な飽和脂肪酸を多く摂ることになります。獣は体温が高いため、飽和脂肪酸というのは常温では固まってしまい、血中に多くなると血液の粘り気が増すわけです。

それに対して、常温では液体で、かつ、寒いところに生育する植物や低温の海で生息す魚に豊富なDHAやEPAは、温度が低くても固まりにくい性質があるため、血中に多くなると、血液がサラサラになると。

エスキモーの主食はアザラシです。そのため、DHAやEPAを大量に摂ることになり、動脈硬化をおこしにくいため、心臓病が大変少ないということですね。

魚を食べると頭がよくなるとも言われています。それも、この油成分のおかげなんです。

というのは、DHAやEPAは人間の脳や網膜に多いのです。考えてみれば、当たり前ですね。脳の中の血流が滞りやすかったら、大変なことになります。ですから、脳内の血液がスムースに流れるように、脳にはDHAやEPAが最も多いのです。

そのため、DHAやEPAは脳の働きを活発にしたり、記憶や学習能力を高める働くをするというわけです。

このことが、魚を食べると頭がよくなると言われるゆえんです。

とにかく、固まりにくい油成分である、DHAやEPAは、私たちの体内だけでなく、赤ちゃんにも超重要です。それも、お腹の中にいる頃、すなわち、赤ちゃんの脳や神経系が発育する際に、この油成分が不可欠です。ですから、妊娠前から魚をたくさん食べることが大切です。

さらに、母乳にはDHAやEPAが豊富なので、出産後の女性にとって、この油成分が不足しがちです。

産後のうつが多い主な原因であると主張する学者も少なくありません。