2012.09.06
男性にもある年齢の影響
年をとれば妊娠に不利になるのは女性だけで、男性はいくつになっても関係ないというのが一般的な認識だと思います。
ところが、男性でも、精子DNAの損傷を守る力は年齢と伴に低下することを示す試験結果がアメリカの研究グループから発表されました。
アメリカエネルギー省のローレンス・バークレー国立研究所の研究チームは、80名の22~80歳の健康な男性を対象に、ビタミンやミネラルの摂取量と精子DNAの損傷率との関係を調べました。
精子DNA損率は精子DNA検査で測定し、日々の食事やサプリメントからの微量栄養素(ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、亜鉛、葉酸)の平均摂取量は100項目に及ぶ食物摂取頻度調査票を実施し、各栄養素の毎日の推定摂取量で3つのグループに分けました。
そして、精子DNA損傷率と日々のビタミンやミネラルの摂取量との関係を分析してみると、ビタミンCやビタミンE、葉酸、亜鉛をたくさん摂っている男性ほど、精子DNA損傷率が低かったとのこと。
ビタミンやミネラルは抗酸化物質なので、精子DNA損傷の主因である酸化ストレスを低減させるのでしょうが、興味深いのは、44歳以上の男性ではその傾向がよりはっきり出ていることです。
左のグラフをご覧ください。左から、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛の3つの栄養素を多く摂取しているグループ(棒グラフ右側)と少ない量しか摂取していないグループ(棒グラフ左側)の44歳以上(濃い色の棒グラフ)と44歳未満(薄い色の棒グラフ)の精子DNA損傷率(横軸)を比べています。
44歳以上になるとビタミンやミネラルを多く摂っている人と少なくしか摂っていない人との精子DNA損傷率の差が大きくなっていますが、44歳未満の若い男性ではその差はそれほどではありません。
一目瞭然ですね。
要するに、男性も年をとるほど、体内に備わった抗酸化酵素の働きが低下してくるので、外から抗酸化物質をたくさん摂ったほうが精子DNA損傷率は少なくてすむというわけです。
反対に若い頃は体内に備わった抗酸化酵素の抗酸化力がしっかりしているので、食事やサプリメントからのビタミンやミネラルの摂取量に関わらず、精子DNA損傷率はそれほど高くならないということではないでしょうか。
男性も40歳を超えれば、健康的なライフスタイルを心がけたり、サプリメントで抗酸化物質を補充することが大切になってくるということですね。 (細川)