卵子が精子と結合した瞬間から、すなわち、受精の瞬間から、卵子は波打つように収縮をはじめるそうです。それは受精卵の細胞質内のカルシウム濃度が一瞬のうちに上下することによって起こるのだそうです。それを「カルシウム振動」というそうです。

NHKのサイエンスZEROという科学番組があります。毎週金曜日の深夜0時から放映されている番組で、毎回、さまざまなテーマの最先端の科学を分かりやすく説明してくれます。

6月の最後の回が、「生命を動かす”魔法の金属”」というテーマで、このカルシウム振動が取り上げられていたのです。

私は、カルシウム振動をそこで初めて知ったのですが、骨の材料というイメージが強いカルシウムがそんな超重要な働きを担っているとは、本当に驚きでした。

このカルシウム振動、簡単に言えば、細胞内のカルシウムの濃度が瞬時に上下することで、さまざまな生命現象をコントロールする働きのことです。

たとえば、筋肉の収縮や神経細胞での情報伝達など、そのメカニズムの背景にはカルシウム振動があると。

そして、今日、アメリカ化学会誌の最新号に掲載された研究論文で、受精卵が分割し、胚に成育するのは、受精卵の細胞質内のカルシウム振動でカルシウムの濃度がピークに達した後に亜鉛が放出されることで、そのプロセスが進むことをマウスやサルの受精卵で確認したというのです。

なんとまあ、タイムリーなことでしょうか。

私たちは、日頃、体外受精でグレードのよい胚が出来た云々ということを言いますが、胚ができるプロセスの精巧なメカニズムのいったんをかいま見たようでした。

カルシウムと亜鉛、生命のはじまりをつかさどる魔法の金属です。