スタッフブログ

地中海

2015.12.15

地中海

和食は健康食というイメージがあります。海外でもSUSHIをはじめとする日本食が人気なのも「ヘルシー」だからだそうです。ただし、エビデンスはないのですね。日本人は平均寿命が世界のトップクラスですから和食も身体に悪いわけがないと考えられますが、これまで、食事内容の和食度と病気のかかりやすさや死亡率などの関係を調べた研究はほとんどないと思います。ましてや、和食度と妊娠する力とか、妊娠させる力(精子の質)との関係についての研究も皆無です。

それに引き換え、地中海食のほうは多くの研究がなされています。地中海食スコア(地中海食度)が高いほど、心疾患やがん、肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病だけでなく、認知症まで、そして、死亡率の低さまで、疫学調査によって確かめられています。

さらに、地中海食スコアが高いほど不妊症のリスクが低く、体外受精の治療成績がよく、妊娠、出産のリスクが低く、お子さんのアレルギー発症リスクが低いという研究までなされています。

まさに、最強の食事パターンなのです。

地中海沿岸地方の伝統的な食事法とはどんな食べ方なのでしょうか。地中海食では、毎日、野菜や果物、精製していない全粒穀物、乳製品、オリーブ油、特に、野菜や果物はできるだけたくさん食べます。また、週に数回、卵、魚介類および鶏肉などの家禽類、豆類、ナッツ類や種子類、イモ類を食べ、最近の研究によれば、魚はたくさん食べたほうが良いとされています。

1)豆類が多い
2)全粒穀物が多い
3)くだものが多い
4)ナッツ類が多い
5)野菜が多い
6)魚が多い
7)一価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸の比が高い
8)飲酒量が適度
9)赤身肉と加工肉が少ない

150704

こう見てみると、野菜や豆、魚中心であるところは和食と共通しています。

そこで、和食に地中海食のエッセンスを取り入れ、より「妊娠しやすい、させやすい」食べ方にするためには、どのように取り組めばいいのでしょうか。

栄養疫学が専門で日本人のための食物摂取頻度調査票を開発され、厚生労働省の食事摂取基準の策定のリーダーもつとめていらっしゃる東京大学教授の佐々木敏先生の著書「栄養データはこう読む」のP.234の図2の下の表がこれです。

図2

表中の「●」が日本人の平均摂取量です。ただし、油脂は地中海食ではオリーブ油だけなのに対して日本人は油脂全体です。

一目瞭然ですね。佐々木先生もおっしゃっていますが、「野菜をたっぷり食べる」、「くだものをたっぷり食べる」、そして、「精製度の低い穀類を主食にする」です。

もちろん、日本人の食事パターンと生殖機能の関連研究を実施することが大切ではあります。

細川

ページトップへ