コエンザイムQ10の補充は軽度の精索静脈瘤の男性不妊患者の抗酸化能力を高め、精子濃度や精子運動率を改善させることがイタリアで実施された試験で確かめられました。

イタリアのマルシェ科学技術大学の研究者らのグループは、精索静脈瘤の男性不妊患者38名を対象に、コエンザイムQ10を1日100mgを3か月にかたって摂取してもらい、摂取の前後の精液検査結果や抗酸化能力を比較しました。

その結果、平均の精液量は3.0mlから4.0mlに、精子濃度は3,550万/mlから4,260万/mlに、精子運動率は20.1%から28.4%に、それぞれ、改善されました。

また、、平均のトータルの抗酸化能力も106.6から148.4に向上しました。

これらの結果はコエンザイムQ10の抗酸化作用やミトコンドリアでのエネルギー産生に関与していることによるものではないかとしています。

精索静脈瘤とは、精巣(こう丸)から血液が心臓に戻る際に、静脈の逆流を防止する弁がうまく働かないために、血液が精巣に向かって逆流することにより、精巣の静脈がふくらみ瘤(こぶ)状のものができた状態のことを言います。

その結果、精巣の温度が2~3℃上昇し、酸化ストレスも高くなり、精子をつくる働きを低下させてしまうことで男性不妊の原因になります。

精子がうまくつくれなくなる男性不妊の30~40%を占めるとされ、男性不妊の「よくある原因」の代表と言えるかもしれません。

精索静脈瘤の治療は手術療法で、術後、精液所見が改善されるとともに、精子DNAの損傷率が低下し、パートナーの妊娠率が高くなるとされています。

ただし、精索静脈瘤の程度は軽い場合、もしくは、出来れば手術をせずに妊娠を目指すことを希望する男性には、精索静脈瘤によって高まった酸化ストレスの低減を試みることになります。

抗酸化作用を有する物質はたくさんありますが、強力な抗酸化作用を有するとともに、ミトコンドリアでのエネルギー産生に深く関与するコエンザイムQ10が最適ではないかと考え、そのことを確かめた試験が今回の報告です。

精子濃度や精子運動率が改善され、抗酸化能力が高まることを確認したとのことです。

軽度の精索静脈瘤、もしくは、手術を希望しない男性不妊患者へコエンザイムQ10で、酸化ストレスを低減し、自然妊娠を目指したり、パートナーの女性への人工授精や体外受精、顕微授精の妊娠率を高める療法は、日本でも実施され、確かめられています。

当社のSOサポートを使った症例報告(泌尿器科学会東部総会_201205_25)はその一つです。