サプリメントの基礎知識[1]サプリメントとは?

[1]お子さんを望むカップルにとってのサプリメントとは?

主役は食べること~食べて新しい命を育む

サプリメントとは、食事で摂り切れない栄養素を補充するもので、その役割は、「食べること(栄養摂取)を補完し、そのパフォーマンスを高めること」です。

私たちは食べて、栄養素を取り込み、それを変換して、皮膚や内蔵、骨、ホルモン、酵素など、私たちの体を構成する材料にし、また、生きていくうえで必要なエネルギー源にしています。つまり、食べて、自らを育んでいるわけです。

お子さんを望むカップルにとって食べることは、自らを育むだけでなく、新しい命をも育むことになります。精子や卵子、受精卵は、周囲の環境から栄養素を取り込み、自らの細胞の材料にし、その増殖に必要なエネルギーをつくっています。そして、周囲の環境とは、取りも直さず、母親になる女性や父親になる男性の体内環境であるからです。

大切なことは、その環境の良し悪しが「新しい命を育む力」に影響を及ぼすということ。

妊娠しやすいカラダづくりを目指すうえで、食べることが重要である根本的な理由です。

5大栄養素~新しい命がすこやかに成育するために欠かせない栄養素たち

新しい命がすこやかに成育するために必要な栄養素の顔ぶれは決まっています。それは、5大栄養素と呼ばれている、たんぱく質、糖質(炭水化物)、脂質、そして、ビタミン、ミネラルといった50数種類の栄養素です。

糖質と脂質を体内で変換し、エネルギーをつくり、たんぱく質や脂質、ミネラルで体をつくり、ビタミンやミネラルは3大栄養素を変換する酵素を助けています。

新しい命の成育に求められるのは、これら、5大栄養素がバランスよく揃っていること。

もしも、どれか一つでも不足したり、過剰になったりしてしまうと、細胞の分裂や増殖がうまくいかなくなったり、必要なエネルギーがうまくつくれなくなってしまったりして、成育に支障になるリスクが高くなってしまいます。

妊娠を望むカップルが取り組むべきは、特別で、特殊な成分を摂取することでも、特定の成分だけを摂取することでもなく、卵子や精子、そして、受精卵が健全に成育するのに必要な5大栄養素のバランスを整えることに尽きます。

問題は、現代に特有の食環境では、普通に食べていても、それらの栄養素の内、過剰になったり、不足したりするものが出てくるという現実です。

現代型栄養失調~5大栄養素のバランスの崩れが本来備わっている妊娠する力を低下させる

現代の食を取り巻く環境では、たとえ、バランスのよい食生活に心掛けていても、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足してしまいがちです。

たとえば、野菜や果物に含まれるビタミンやミネラルは激減しています。文部科学省の「食品標準成分表」では、ニンジン100グラムあたりに含まれるビタミンAは約50年前の20%です。もしも、その頃と同じ量のビタミンAを摂ろうとすると5倍の量のニンジンを食べなければならない計算になります。

また、精製食品や加工食品、ファーストフードなど、予め、微量栄養素量が剥ぎ取られた食品を食べる機会が増えました。

その結果、生殖年齢にある女性では、ビタミンAや鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウムの充足率は100%に満たないとの報告が多数なされています。

実際に、3大栄養素が過剰になったり、2大栄養素が不足したりすると、糖質や脂質、たんぱく質がだぶつき、インスリン抵抗性や高血糖、酸化ストレス増大、高ホモシステイン血症を招くようになり、卵子や精子、受精卵、胚、胎児の成育に、障害になるリスクが高くなり、本来、備わっている妊娠する力が低下してしまいます。

妊娠する力を取り戻す~食生活を改善し、サプリメントで効率的に補充する

昨今の晩婚化の影響で、高齢不妊、すなわち、年齢による卵子の老化が原因の不妊症が増えています。もちろん、卵子を若返らせることは出来ませんが、体内環境の悪化で、一時的に低下している妊娠する力を取り戻すことは可能です。

そのためには、食生活を改善し、適度な運動、質のよい睡眠を心掛けることです。

その上で、食事だけでは十分に摂り切れない微量栄養素を効率的に補充する、これがサプリメントの効果的な使い方です。

その結果、5大栄養素のバランスが整うことで、体内環境が改善されると、育む力が養われ、妊娠する力が高まるだけでなく、妊娠後のさまざまなリスクが低くなり、さらには、生まれくるお子さんの出生後の心身の健康にも寄与することになるのです。

オランダの大学病院で体外受精を受けるカップルに、食生活のバランスをアンケートで調査委(毎日、全粒粉パンを4切れ以上食べているか、植物性の必須脂肪酸を摂っているか、毎日、200g以上の野菜を食べているか、毎日、2切れ以上の果物を食べているか、週に肉を約160~250g程度食べているか、週に魚を60~85g程度食べているか)したところ、5大栄養素の摂取バランスのポイントが高いカップルほど、その後の妊娠率が良好であったとの研究報告があります1)

また、顕微授精を受けるカップルの男性パートナーの食生活や生活習慣についてアンケート調査を実施し、その後の顕微授精の治療成績との関係を調べたところ、男性パートナーの食生活や生活習慣が健康なカップルほど、その後の顕微授精の治療成績が良好であったとの報告もあります2)

未だ見ぬお子さんのために、まずは、自分たちのココロやカラダを大切にすることからはじめたい、そんなおふたりを応援したい、そう願っています。

文献

1)The preconception diet is associated with the chance of ongoing pregnancy in women undergoing IVF/ICSI treatment. J.M. Twigt. et al. Hum Reprod. 2012; 27: 2526-2531.

2)Food intake and social habits in male patients and its relationship to intracytoplasmic sperm injection outcomes. Daniela Paes de Almeida Ferreira Braga, et al. Fertil Steril. 2012; 97:53-59.