アドバイザリードクターに聞く 開発秘話インタビュー

女性不妊や男性不妊を専門とするドクターのアドバイスのもとに企画開発しています。

男性不妊への抗酸化療法について(SOサポート採用の経緯)

精子の数が少ない、精子の運動率が低い、正常形態の精子が少ない、これらを総称して、「OAT症候群(oligoasthenoteratozoospermia syndrome)」といいます。実際、精液検査の結果、1つの項目の数値だけが低いというケースは少なく、精子濃度、精子運動率、正常形態精子率の3つがいずれも低いことが多く、ほとんどのケースがOAT症候群であるといえます。

これらは、精子をつくる機能(造精機能)に何らかのトラブルがあり、元気で正常な形の精子がつくられにくい状態になっていて、そのために精液検査の数値が悪くなっているものと考えられています。

そして、そのうち、トラブルが特定できない、いわゆる原因不明の造精機能障害[1]が男性不妊全体の4分の3に及んでいます。つまり、男性不妊の多くは有効な治療法が確立されていないということになります。

たいていは、人工授精、もしくは、その程度に応じて体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療で妊娠を目指すことになり、いずれも女性側に施されます。

ただし、もしも、少しでも男性のほうの状態を改善することができれば、人工授精を自然妊娠で、体外受精や顕微授精を人工授精で妊娠を目指せるようになり、奥さんの負担を軽くすることが出来るようになります。また、経済的な負担も軽減出来ることでしょう。この事を、治療の複雑さが低くなるという意味でステップダウン(step down)と言ったりします。

そのために、ホルモン剤やサプリメント、漢方薬などが処方されるのが一般的ですが、近年、その有効性についての臨床報告が多くなされるようになったことから、現在、世界の男性不妊専門医に最も注目されているのが「抗酸化療法」です。

そこで、獨協医科大学越谷病院泌尿器科で男性不妊の診療に携わっておられる慎(しん)先生に「男性不妊の抗酸化療法」についてお話をお伺いしました。

獨協医科大学越谷病院泌尿器科では男性不妊症の最先端の研究・診断・治療を行っています。精巣から手術用顕微鏡下で精子を取り出す「MD-TESE(顕微鏡下精巣精子採取法)」という治療法では、国内最多の症例数を持ちます[2]。また、染色体異常のクラインフェルター症候群[3]の患者に対するMD-TESEは、世界でも症例数が最も多い施設として知られています。

[1]造精機能障害
男性不妊の原因の1つで、精子をつくる機能(造精機能)に何らかのトラブルがあって、元気で正常な形の精子がつくられにくい状態
[2]症例数
読売新聞2012年7月29日 男性不妊専門医の診療実績
[3]クラインフェルター症候群
男性の性染色体にX染色体が一つ以上多いことで生じる一連の症候群で、射精や通常の性行為は問題なくできるが、精子の数が極端に少ないため非閉塞性無精子症と診断される場合が多い。

男性不妊と酸化ストレス

獨協医科大学越谷病院泌尿器科
慎 武先生

細川)男性不妊には酸化ストレスが関与しているとの研究報告が数多くなされています。

慎先生)そうですね。たとえば、造精機能障害で原因がわかった場合に最も多い精索静脈瘤でも、また、原因がわからない場合でも、精巣内の酸化ストレスの増大が男性不妊を引き起こしているのではないかと考えられています。

細川)男性不妊を引き起こす原因の一つに酸化ストレスが関わっている可能性があるということですね。酸化ストレスとはどういうものなのでしょうか?

慎先生)酸化というのは身近でよくある化学反応です。たとえば、リンゴを切ったままにしておくと色が変わったり、鉄が錆びついたり、 油が古くなると黒ずんだりしますが、これらはすべて空気中の酸素に触れることで起こる「酸化」現象です。

細川)酸素と反応するので、「酸化」というのですね。

慎先生)酸素は物質を酸化させますが、体内で発生する「活性酸素」は、体(細胞)を酸化させます。その結果、さまざまな不調や病気の原因になるのです。

細川)酸化ストレスの犯人は活性酸素だと。

慎先生)そうです。ただ、活性酸素を無毒化する働き、これを抗酸化作用と言いますが、それも体内に備わっています。

細川)抗酸化作用が活性酸素から細胞を守ってくれているのですね。

慎先生)はい。ところが、活性酸素の発生量が抗酸化作用のキャパシティーを上回った場合、酸化ストレスが高くなり、いろいろな悪さを働くようになるのです。

細川)それが男性不妊の原因になっているかもしれないということですね。

慎先生)実は、活性酸素による細胞へのダメージについてはじめて報告されたのが精子細胞なのです。酸素濃度の高い環境では精子の運動能力が低下すること、そして、抗酸化剤を投与すると精子の運動能力が回復することを確かめています。

細川)はい。

慎先生)元々、精子は宿命的に酸化ストレスに脆いところがあります。

細川)そうなのですか。

慎先生)はい。精子の細胞膜は、主にDHAのような酸化されやすい不飽和脂肪酸で出来ています。それにもかかわらず、酸化ストレスから細胞を守る抗酸化酵素が十分に備わっていません。

細川)酸化されやすいうえに、防御システムが脆弱だと。

慎先生)卵子を目指して長い距離を泳ぐためのエネルギーをつくるためにそれらを犠牲にしたとも言われています。

細川)なるほど。

慎先生)そのため、酸化ストレスの増大によって、精子の細胞膜の脂質や細胞質のたんぱく質が変成したり、父親の遺伝情報を含むDNAが傷つけられ、ちぎれたりたりします。そして、精巣内の細胞膜やたんぱく質の酸化は精子をつくる機能の障害を、精子の細胞膜の酸化は精子の運動の能力の低下を、それぞれ、招くのではないかと考えられているのです。

細川)そのため、精子の数が少なくなったり、運動率が低下したりするのですね。

慎先生)また、精子DNAの損傷は、受精能力の低下や胚の成育不良、流産、 子の先天異常、子の発ガンリスクの上昇を招くことが知られています。

活性酸素の発生量と抗酸化力のバランスが重要

細川)酸化ストレスが男性不妊の原因になり得ることがよくわかりました。ところで、そもそも、活性酸素はどのようにして発生するのでしょうか?

慎先生)私たちは、細胞内のミトコンドリアで酸素を燃やしてエネルギーをつくっています。この時の排気ガスみたいなものが活性酸素です。そして、男性不妊患者さんは、精子からの活性酸素の発生量が多いことがわかっています。ただ、その原因はわかっていません。

細川) そうなのですか。

慎先生)要するに、精子は自らの過剰な活性酸素で自分や自分の周囲の精子にダメージを与えているということになります。

細川)そうですね。

慎先生)その一方で、既に述べた通り、それに対抗する抗酸化作用も備わっています。その中心は抗酸化酵素物質(スカーベンジャー)です。また、ビタミンCやE、グルタチオン、コエンザイムQ10、ポリフェノールなどの抗酸化物質があります。

細川)活性酸素の攻撃から細胞を守る、抗酸化システムというわけですね。

慎先生)ただし、活性酸素は悪者扱いされていますが、実際には活性酸素は精子形成や精子が卵子の中に進入する際になくてはならない役割を担っていて、活性酸素をなくしてしまってもいけないのです。

細川) ゼロにすればいいわけではないと。

慎先生)大切なのはバランスです。酸化ストレスとは、活性酸素の酸化力と身体に備わった抗酸化力とのバランスが崩れた状態なのですね。活性酸素が大量に発生、もしくは、抗酸化力が低下することで活性酸素の酸化力が抗酸化力を上回り、活性酸素の害を消去しきれなくなってしまった状態のことをいうのです。

細川)なるほど。

慎先生)そのため、取り組むべきは、 活性酸素の過剰な発生を防ぐ一方で、抗酸化力を高めるということになります。

細川)活性酸素対策と抗酸化ということですね。

慎先生)まずは、生活習慣を改善することが大切ですね。禁煙、お酒は適量にすること、 バランスのとれた食生活、質のよい睡眠など、 生活習慣を見直し、健康的なライフスタイルを心がけるということです。

細川)生活習慣の改善からはじめるのが大切なのですね。

慎先生)当科の主任教授の岡田のオフィシャルサイトに「精子力を高める7か条」としても紹介されていますので参考にしてみてください。

細川) 男性不妊バイブルですね。

慎先生)はい。ただし、男性不妊の患者さんでは、精子から活性酸素が過剰に発生していることが多いので、強い抗酸化作用を有する成分を服用するのがよいでしょう。

細川)はい。

慎先生)体外受精や顕微授精に臨むカップルの男性パートナーが抗酸化サプリメントを摂取することで、 妊娠率や出産率が有意に上昇することが確かめられています。

細川)最近、研究報告が相次いでいるようですね。

慎先生)もちろん、特効薬にはなり得ませんし、抗酸化サプリメントの摂取で必ず改善されるわけではありませんが、原因不明の乏精子症や精子無力症に対しては、確立された治療法が存在しませんので試してみる価値は十分にあると考えています。

抗酸化療法の有効性を探る〜SOサポートを用いた臨床試験結果

細川)獨協医科大学越谷病院泌尿器科やその関連クリニックの男性不妊外来では、2010年から当社製品「SOサポート」を男性不妊の抗酸化療法のためのサプリメントとして採用していただいています。

慎先生)獨協医科大学越谷病院泌尿器科ではCoQ10に着目、20年ほど前から医科用のCoQ10としてノイキノン(医薬品のコエンザイムQ10)を男性不妊患者に自由診療で用いてきました。ノイキノンは10mg錠ですので、1日6-9錠を服用して頂き、運動性の改善効果を認めてきました。特に、精索静脈瘤患者には有用性が高いため、手術前の期間に服用してもらっていました。

細川)まだ、コエンザイムQ10が医薬品でサプリメントとしての使用が認められていなかった時代ですね。その頃から男性不妊への抗酸化療法を開始していたのは、世界でも岡田弘教授とイタリアのグループくらいだと思います。

慎先生)男性不妊への抗酸化療法のパイオニアであると言えると思います。

細川)コエンザイムQ10は、細胞内のミトコンドリアでエネルギーの産生の最終段階で必須の補酵素で、強い抗酸化作用を有しています。つまり、細胞の元気の素であり、錆びつかせないためにも大切な物質です。もちろん、そんな大切な物質なので、体内でつくられていますが、30代後半からその量が減ってくるといわれています。

慎先生)食物からもコエンザイムQ10を摂取することが出来ますが、せいぜい1日に5〜10mgといわれています。仮にSOサポート1日分(2カプセル)のコエンザイムQ10を食事から摂ろうとすると、イワシを20数匹か、牛肉だと4kg弱食べないといけません。

細川)到底無理ですね。

慎先生)コエンザイムQ10は岡田弘教授が着目された通り、2009年にイタリアのグループが精子無力症の男性不妊患者さんにコエンザイムQ10とプラセボ(偽薬)を服用してもらった二重盲検試験(最も厳しい臨床試験方法)でその効果を確かめられていて、コエンザイムQ10を半年間服用することで、精子運動率が統計学的に有意に改善されています。

細川)SOサポートはコエンザイムQ10を高濃度(120mg)に配合していることに加え、水溶性と脂溶性の抗酸化ビタミンであるビタミンCとEをブレンドし、抗酸化作用を高めています。さらに、オメガ3系脂肪酸のαリノレン酸を豊富に含む亜麻仁油をベースオイルとすることでオリジナリティの高い内容となっています。

慎先生)ビタミンCとEをブレンドすることでそれらの相乗作用によって抗酸化作用が高まることが期待出来ます。現在、アメリカに留学中の小堀先生のSOサポートを用いた臨床試験の論文をご紹介しましょう。

細川)はい。今年、海外の泌尿器科の専門誌「Archivio Italiano di Urologia e Andrologia」に掲載された論文ですね。

慎先生)獨協医科大学越谷病院泌尿器科、及び、関連クリニックの男性不妊外来を受診したOAT症候群(精子が少なく、運動率が低く、奇形率の高い)の男性不妊患者168名(平均年齢36歳)にSOサポートを服用してもらい、服用前、服用3ヶ月後、6ヶ月後に精液検査を実施し、服用効果を測定しました。

その結果、平均の精子濃度は服用前2,630万/mlが、3ヶ月後には3,750万、6ヶ月後には4,900万に、精子運動率は服用前25.2%が3ヶ月後には39.1%、6ヶ月後には41.3%に改善、精子濃度は1〜6ヶ月の間、精子運動率は1〜9ヶ月の間、有意に上昇しました。

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また、服用後、48名が妊娠(28.4%)に至り、その内16名(9.5%)は自然妊娠で、7名は服用後3ヶ月後、8名は6ヶ月後、1名は9ヶ月後と、自然妊娠したカップルは半年以内に妊娠しています。一方、32名が生殖補助医療を受けて妊娠に至っており、治療法の内訳は人工授精が6名、体外受精が8名、顕微授精が18名でした。

グラフで、投与9、12ヶ月後の症例で改善が認められなかったのは、それまでに精液所見が改善し妊娠した夫婦の症例が脱落したものによると考えられます。

細川)服用後1ヶ月後に効果があらわれるケースもあるのですね。

慎先生)はい。ただ、精子形成に約3ヶ月かかりますので、最低でも3ヶ月の継続を目安とするようにお話しています。

細川)わかりました。

慎先生)この結果からSOサポートは原因不明の男性不妊患者さんの抗酸化療法において有用であることが示唆されています。

医療機関で取り扱うべきサプリメントの品質とは?

細川)抗酸化作用のある成分はたくさんありますが、どのような理由でSOサポートを採用いただくに至ったのでしょうか?

慎先生)サプリメントの成分には大きくわけて2つあって、天然の産物から採りだしたものと工場で化学合成したものがあります。前者にはトンカットアリやマカ、朝鮮人参などがあり、後者にはビタミンやコエンザイムQ10があります。

細川)そうですね。

慎先生)前者は、天然の産物ですから産地や栽培方法、抽出方法によって、有効成分のバラツキが大きく、信頼のおける原料の入手は大変困難です。また、有効成分の含有量が少ない(濃度が低い)ため、たくさんの量(錠剤やカプセル数)を服用する必要があります。それに対して、後者は、高い技術で製造、抽出すれば、含有量を規格化することが可能で、服用する数も少なくてすみます。

細川)おっしゃる通りです。

慎先生)そのような条件を満たす成分は、実はそれほど多くはありませんが、コエンザイムQ10は、元々、医薬品として認可されている成分ですから、作用するメカニズムや有効性、安全性などは、比較的、検証されています。

細川)そうですね。

慎先生)その上で、男性不妊患者さんへの抗酸化療法に最適な配合になっているかどうかがポイントになります。

細川)はい。

慎先生)さらに、品質面から言えば、医薬品はアスピリンと言えば、どれも同じアスピリンですが、サプリメントになると、医薬品とは違い、同じコエンザイムQ10、同じビタミンC、ビタミンE、αリノレン酸と言っても同じではありません。つまり、同じ名前の成分でも、どんな原料を使い、どれだけの量が配合され、どこで、どんな製造レベルでつくられているのかによって、全く別物になってしまいます。

細川)外見は薬と似ていますが、中身は全く違いますね。

慎先生)その点で、SOサポートは、男性不妊患者さんへの抗酸化療法に適した配合内容になっていること、信頼のおける原料メーカーのものを採用していること、日本国内のGMP認定工場で製造されていることから、医療機関で生殖医療のサポートになり得る品質と性能を備えていると判断し、採用に至ったわけです。

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